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『恋ダンス』YouTube配信におけるJASRAC管理の著作権と原盤の問題?

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こんにちは。栗瀬です(@YujiKurise

 

今日は、音楽の権利について考えたいと思います。

ちょっと古い話かもしれませんが…。

 

『星野源「恋」に合わせて踊る“恋ダンス”動画に関するお願い』という表題で、以前ビクターエンタテインから、下記のような内容が発表されました。

恋ダンス”動画につきまして、2017年8月末日をもちまして、弊社より著作権法に基づく動画削除の手続きを行わさせて頂きます。

ドラマの放送期間終了後に改めてお知らせさせていただきました規定通り、弊社からの削除手続きが始まる前に、可能な限りお客様ご自身で“恋ダンス”動画の公開中止・削除の作業を行っていただきますよう、お願いいたします。

 

それに対して、下記のようなコメントもつい先日ネットで拝見致しました。

 

私が、推測しているのは、前出のコメントのような「やってみた文化」が終焉したという事はなく、YouTubeというインターネットメディアに対して、ビクターエンタテインメントがメーカーとしてのファンクションの限界と、星野源(著作権者)への著作権使用料分配の構造欠陥が絡み合った問題だと考えております。

 

まず、YouTubeは、コンテンツIDという音楽権利者に対して、広告収益を分配する機能があります。

support.google.com

ここに記載の通り、

 

コンテンツ所有者は、自分の Content ID と一致するコンテンツにどのような対応策をとるか選択することができます:

 

・閲覧できないよう動画全体をブロックする
・動画に広告を表示させて動画を収益化し、場合によってはアップロードしたユーザーと収益を分配する
・その動画の再生に関する統計情報を追跡する

 

といった、3つを対応することで、権利者の権利保護や収益分配を図るようにしております。

 

ただ、YouTubeのような映像音楽コンテンツの場合、一般的には大きく分けて3つの権利が内包されています。

 

  1. メロディーラインに係る著作権者の権利
  2. 原盤権利
  3. 映像原盤権利

 

まず、1の「メロディーラインを創った著作権者の権利」というのは、いわゆる作詞者、作曲者の権利で著作権です。

 

2は、そのメロディーラインに基づき、楽曲制作にお金を投じた権利者の権利です。

 

3は、映像制作に対してお金を投じた権利者の権利です。

 

 

今回の、「恋ダンス」に関して役割を当てはめてみると、

 

1.星野源(代表出版社は、日音)

2.ビクターエンターテインメント

3.ビクターエンターテインメント

 

となります。

*1

 

ただ、ここで問題になってくるのは、1の部分で、YouTubeがJASRACを通じて、適正な再生回数の著作権使用料を支払えているのか?という点です。

 

よくわかる音楽著作権ビジネス 基礎編 4th Edition

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というのも、そもそもコンテンツIDは、メーカーであるビクターエンターテインメントに付与されいてるはずです。そして仮に私が申し上げた、「YouTubeがJASRACを通じて、適正な再生回数の著作権使用料を支払えているのか?」という点をクリアしていなかった場合、何の問題が更に生じるのかと申しますと、

 

星野源に、作詞・作曲の著作権使用料を適正に分配できない

 

ことになります。

 

 

すこしずつ、噛み砕いていきます。

 

原盤を使用している「恋」のミュージックビデオ、そしてユーザーが踊ってみた「恋ダンス」を、コンテンツIDの説明があったように、『動画に広告を表示させて動画を収益化し、場合によってはアップロードしたユーザーと収益を分配する』をビクターエンターテインメントが選択した場合、その再生回数に応じて、広告収益がYouTubeから分配されます。YouTubeからは、ユーザーがアップロードした映像も含めて回数に応じて収益の支払は発生します。

2,3の収益はビクターエンターテインメント側に間違いなく発生しているので、問題ないです。

 

その中で、1の部分が問題になってきます。

YouTubeとJASRACは、「包括的利用許諾契約」を締結していることで、YouTube側はJASRACに著作権使用料を契約に基いてYouTubeの売上に対する一定額を払っているので、この二者間は問題ないですが、JASRACから「恋」の代表出版社である日音を通じて、作詞・作曲者である星野源に対し、「恋」だけで発生した正しい収益に基づいた著作権使用料が、「包括的利用許諾契約」の為、しっかり分配されていないはずなのです。

 

こうなると、メーカーが得をして、著作権者だけが割を食うような構図になります。

 

もちろん、メーカーは、TVタイアップや宣伝等でそれなりの資金投下しているので、収益回収はしたいのですが、作詞・作曲側としては、「YouTubeから1〜3まで取っておいて、それズルくねえ?1の分配どうするんの?」となります。お金は揉める原因です。

 

そこで、メーカー側は、

 

星野源さん側とモメるぐらいなら、いっその事、YouTubeで【踊ってみた】を止めさせちゃおう!

 

という判断になったのではと推測しています。

 

ほんと、これは外部の私の勝手な推測と妄想なので、星野源さんのファンの方々や関係者の方々に迷惑をかけるつもりもないです。音楽業界の構造の問題を表現しているだけです…。

 

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メーカー側の機能が、『音を製造する』という立場だと、原盤権利のみ保有していて、著作権者にお伺いを立てながら、新しいメディアに対応するような流れになり、対応に遅れる部分が出てきたり、JASRACのような巨像が、新しいメディアへの変化対応が出来ていないからこそ、アーティストや作家への適正な分配が出来なくなり、メーカーや著作権者とモメる要因を作り出していると推測します。

 

「恋」は素晴らしい楽曲です。ただ、『恋ダンス』を普及させ拡散させたのは、間違いなくユーザー側であり、今回の『恋ダンス削除』を悲しんでいるのもユーザー側です。星野源さんも、ユーザー側の気持ちを汲んで『恋ダンス削除』は、苦渋の選択だったのかもしれません。


星野 源 - 恋 【MUSIC VIDEO & 特典DVD予告編】

 

私の推測で色々と書いておりますが、適正に著作権使用料が作家に分配されていれば、

『恋ダンス』のような企画を事前に作家と調整をして、納得されていたのでは?と勝手に思っております。

 

今後、ユーザー側が悲しまないように、YouTubeにおいて(というよりJASRAC)適正な分配がされる事を期待しています。

 

 

JASRACの対抗馬として、著作権管理団体のNexToneがYouTubeとの取組で、新しい著作権管理サービスをスタートします。

NexTone 新たに YouTube の技術を活用した著作権管理サービスを開始 | 株式会社NexTone

適正な分配が見込めるかもですね! 

 

 

こういった取組があることで、YouTubeにもっとアーティストが参加して収益を得て、ユーザーと共に楽しめたら理想ですよね。

恋

 

今回は、長々と書きましたが、星野源さんの部分に関しては、妄想含めて書いておりますので、その点ご了承頂けると幸いです。私は、権利部分についても決して正しい事を書いているとは思っておりませんので、記載に誤った表現やご指摘があれば、メールを頂けましたら幸いです。

yuji.kurise@gmail.com

 

 

 

 

ちなみに私、星野源さん大好きです!このアルバムは超名盤。 通して聴いて最高のアルバムです。擦れるほど(表現が古いですね)聴いてます!

YELLOW DANCER

YELLOW DANCER

 

 

*1:※1はJASRACのJ-WIDを閲覧すれば、誰でも見ることができます。ただ、2と3は、メーカー側がどういった権利を保有しているのか分からないのですが、一般的にはメジャーだと原盤者はメーカーだというのを前提に記載しています